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アクースモニウムとは?[NEW] アーカイブ

2007年4月 8日

アクースモニウムとは?


参考:国際アクースマティック音楽祭FUTURA2006(フランス)
アクースマティック演奏:檜垣智也(MOTUS)Acousmonium MOTUS(63ch/100スピーカー)
上演作品:Dieter Kaufmann Berceuse pour Piccoletto [2005] 14'25
ビデオ撮影&編集:セバスティアン・マニュ

1. アクースモニウムとは?
アクースモニウムとは、スピーカーのために作られた電子音響音楽(テープ音楽、ミュージック・コンクレート/アクースマティック、電子音楽など)をコンサートで発表するための多次元立体音響装置である。1974年にフランスの作曲家フランソワ・ベルが発案し、ドゥニ・デュフールとジョナタン・プラジェによってその演奏法が確立された。コンサート空間に自由に配置された複数(通常は16個以上)のスピーカーを、ミキサー上のフェーダー操作することによって、様々な音響空間が自由に表現できる。

2. システムの概要
アクースモニウムは、異なるタイプ(大きさ、音圧、音色)のスピーカーの集合体で構成されている。これらのスピーカーは、アンプを介して、ミキサーにつながれている。基本的に、1つのスピーカーは、ミキサー上の1つのフェーダーにアサインされるが、スピーカー同士をカスケードし、一つのフェーダーに複数のスピーカーをアサインすることも可能である。取り扱う音響メディアは、基本的にAudio CDやADAT、ハードディスクなどに記録されたステレオあるいはマルチトラック作品である。

3. スピーカーの設置について
会場にスピーカーを設置する時には、ホールの広さを活用する。正面 - 中央 - 後方、または、広がったプラン - 狭められたプランといった様々な配置の対比によって、空間のコントラストを強調することが可能になる。作曲家や作品の趣向、コンサートごとにスピーカーの配置は異なったものになる。

4. ミキサーの操作について

それぞれのスピーカーの音量をフェーダーによって操作する。スピーカーのオーケストラとも呼べるアクースモニウムの指揮者は、最適な音響のバランスを取るためだけのエンジニアではなく、以下のパラメータをライブでコントロールし、作品を「解釈」する。

アクースモニウムの5つの演奏パラメーター
- 空間的配置(近 - 遠、前 - 後、上 - 下)
- 強弱(ピアノ - フォルテ)
- 音色(暗 - 明)特徴あるスペクトルをもっているスピーカーの選択によって。
- 密度(ソロ - トゥッティ)設置されている全てのスピーカーから使用されるスピーカーの数に関係している。
- 速度(緩 - 急)フェーダー操作によって

5. 作品を「演奏」する
ミキサーの操作を即興的に行うのではなく、作品を事前に学習/記憶/分析し、「解釈=Interpretation」した後に、はじめてその作品を一体感を持って演奏できる。このような作品の深い理解がともなった時、他の楽器と同様に、「演奏」と呼ぶに相応しい洗練された行為が可能になり、作品と聴衆の掛け橋になることができる。

(文:檜垣智也, MOTUS)

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